第2章 手を繋ぐので精一杯
出久くんは、迷子の男の子と手を繋いでいるけど、私はそれを後ろから見ていた。
ふいに見える、笑ったり、困ったりした表情。
本当の親子みたいだなぁと思う。
「おねぇちゃんも手をつなご!」
いきなり2人とも振り返るから、びっくりする。
『いいの?』
「うん!」
ちょっと恥ずかしいなって思いながら、3人で仲良く手を繋いだ。
「ふたりは、こいびと、どうし?」
「『えっ!?』」
見事にハモってしまった。
みるみる私も出久くんも顔が赤くなるのがわかる。
「あ、あ、あのねっ// え、えーと//」
指摘されて慌てる出久くん、ちょっと可愛い。
出久くんとならいいかなぁ、と思ったのは内緒。
「ぼくのパパとママも仲がいいんだ!」
「そ、そうなんだっ//」
話が変わってほっとした。
迷子センターに向かう途中で無事に男の子の両親を見つけた。
「本当にありがとうございました!」
「おにいちゃん、おねえちゃん! ありがとー!」
「今度は迷子になっちゃダメだよー?」
出久くんは、ぶんぶんと手を振って親子とは別れた。
私は、繋いでいた手が離れて、ちょっと寂しく感じていた。
その時、急に手を引っ張られ握られた。
「あのさ、今度は、リルルちゃんと繋いでていいかな?//」
『…えっ…う、うんっ///』
私はまた、顔が赤くなるのを感じた。
END