第2章 手を繋ぐので精一杯
出久くんと、ショッピングモールに来たときのことだった。
『ごめんね、私の買い物に付き合わせちゃって』
「そんなことないよ? 僕も行きたかったから」
ふわりと笑う出久くん。
小さい頃からずっとそばにいてくれて、困った時はいつも助けてくれた。
『そっか、なら良かった』
いろんなお店に入ってお話して、店員さんに素敵な彼氏さんですね、なんてからかわれたり。
時間が経つのはあっという間でそろそろ帰らないといけない時間になった。
「子供が一人で泣いてる!」
出久くんの方を見ると、確かに一人で泣いてる男の子がいた。
「迷子かもしれない!」
私達はその子に駆け寄った。
「君、大丈夫? お父さんや、お母さんは?」
「うっ…ぐすっ、はぐれちゃっ、たっ…」
「そっか、でももう大丈夫だよ! 僕が来たから!」
その台詞、どこかで聞いたことあるなって思わず笑ってしまった。
僕がきっと見つけてあげるからね、と優しく微笑む出久くん。
そんな二人を私は見守っていた。
「リルルちゃん、何してるの?」
『んーん、なんでもないよ?』
「とりあえず迷子センターに預けようかと思うんだけど」
『わかった!』
私達は移動することにした。