第20章 明石国行 眼鏡の奥の熱い春情・:*+.
「子猿やな…」
「す…すいません…。驚いてしまって…」
私の肩から降りて、ちゃぽんと湯に浸かった子猿は、愛らしい大きな瞳をぱちぱちさせている。
「可愛いっ〜!お仲間はどこかな?」
薬研さんが言ってた悪戯なお客さんってもしかしてこの子の事かな?
その子猿に夢中になっていた私は、じーっと私に注がれている視線に気付いていなかった。
「ほんま危機感ないなぁ…。わざとなん?」
「えっ?あっ…明石さん…!?まだそこにいらっしゃったんですね…!?あのっ…」
急に羞恥心が溢れ出し、ぶくぶくと鼻までお湯に沈み、自分を抱きしめるように腕を胸の前で交差する。
いくら乳白色のお湯と言っても…私裸だしっ…見られちゃう…っ!
「野生の猿は危ないからなぁ。隣で彼女はん守らんと。」
じゃぼんっ!
明石さんは刀を置き、ばさっと浴衣を脱いで湯に浸ると、じわじわと私との距離を詰めてくる。
「へっ?へっ!?ひゃっ…!明石さんっ…待って!だめだめっ…!!」
小猿より明石さんの方が危険ですからっ!!
私の声に驚いた小猿が逃げ回るように湯の中を移動すると、ばしゃばしゃと水飛沫が上がり、二人ともびしょ濡れになってしまった。
明石さんは濡れた髪をぐっと掻き上げると、妖艶に微笑む。
しっとりと濡れた髪、紅潮した頬、艶っぽい唇、熱を宿した瞳。
きゃぁ…明石さんの色気が増してしまった…!
「傷治ったな?」
「ひぇっ…!?それ以上近づいちゃだめですっ…!お願いっ…!」
必死に伸ばした掌に、明石さんの胸が触れた瞬間、両手首を拘束され唇を奪われる。
「んっ…!ふぁ…」
「治ったら"もらう"って言いましたやん?」
「んっ…あっ…あぁ…明石さっ…」
「"これ"邪魔やな?」
カチャ…
明石さんが眼鏡を外し、その艶かしい表情に私の吐息が漏れた瞬間、再び唇を塞がれ、僅かな隙間からにゅるっと舌が差し入れられる。
"もう我慢しない"と言わんばかりの舌が、意志を持って動き、私の口内を犯していく。
「やっ…あっ…!んぅ…」
くちゅくちゅと厭らしい音を立てて、何度も繰り返される口付けに、脳まで溶けてしまいそうだ。
歯裏をなぞられ、舌を強弱をつけて吸われ、唇を甘噛みされる。
熱い…苦しい…気持ちいい…ふわふわする。
「ふっ…そんな蕩けた顔されたら、もう止まれへんな。」