第4章 止められない感情
「…」
兄はその言葉に鋭い眼差しで橘を睨んだ。
そしてすぐ口許を緩め、ニッコリと笑みを浮かべた。
「それじゃ」
私の肩を抱いたまま橘の横を通り過ぎ、
私達はそのまま映画館を後にする。
その後ろ姿をジッと見つめる橘の顔が険しくなると、
拳にギュッと強く力が入った。
「兄貴の顔、じゃねぇよ。アレ」
ーーバタンッ!
そこは繁華街にあるラブホテル。
半ば強引に私を連れて来ると、閉めた部屋の扉に体を押し付けるなり荒々しく唇を塞いできた。
「っ、あん、お兄、ぃ、ちゃん…??」
橘と会ってから様子がおかしい。
何処か苛々してるというか…。
「お兄ぃ、ちゃん」
「柚はアイツと友達なの?」
「え?」
「橘って奴だよ。さっき会った」
兄は私の服を捲り両胸を揉み砕きながら、首筋に口付けをする。
「ん、まぁ…」
橘と関係を持っているなどもちろん言えるはずもなく、
ただ適当にしか返事を返せない自分。