第1章 理想のペアとハムちゃんズ
ある日、メンタルコーチの齋藤の指導により、理想のペアの心と心を通わせる特訓として、丸井と木手は港南区の東ヶ丘に来ていました。
「最近、Uー17合宿所(アンダーセブンティーンがっしゅくじょ)から離れたところで特訓が多いですねぇ。それもあなたと」
隣を歩いていた丸井に横目で見ながら言った木手です。
「そりゃあ、ダブルス組んで高校生たちに挑んだから余計じゃね?」
丸井は両手を頭の後ろに組み、風船ガムをぷくっと膨らませます。
「こんなところに来たところで特訓になるとは思えませんがねぇ」
「そうだな。帰る?」
「帰りたいのはやまやまですが、このまま帰ると合宿所退去になりそうです」
「そっかぁ…」
「とりあえず、何か飲み物でも買いましょうか」
「おー、ちょうどオレも喉が渇いていたところだったろい」
丸井と木手が自動販売機を探していたところでした。道端で黄色いヘルメットをかぶった灰色と黒のハムスターがうつ伏せで倒れているところを発見します。
「……生きているようですね」
木手が人差し指で軽くハムスターに触れるとぴくっと動きました。