第16章 今日という日が 【不死川実弥誕生日記念】
「『今日という日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。』」
その素敵な日のお手伝いを、『おめでとう』という言葉でできるのなら。
この言葉を告げて、祈りたいと思うのです。
私は背中を向けてその場から立ち去った。
「…知ッてたのかよ」
背後から不服そうな声がして、続いてみんなのお祝いの言葉が聞こえた。
(…あんな話をするから、不死川くんの誕生日知っていると思ったのにみんな知らなかったんですねえ。)
帰り道、なんてことを考えながらフラフラ彷徨っていた。
すっかり寒くなった今日、彼はどこで生まれたのだろう。
どんな人生を歩んできたのだろう。
幸せになってほしいと思うし、そう願う。
これからの行く末が良いものでありますように。
そうなるように、私は頑張るのみです。
未来をつなぐ小さな子のために、明日に向かっていきたいです。
少しぶっきらぼうな男の子。
ちょっと不器用な男の子。
どうか、素敵な1日を。
かけがえのない一年を。
生まれてきてくれてありがとうございます。
あなたに出会えて、私、良かったです。
不死川くん、お誕生日おめでとうございます。