第9章 霞と音の大学ライフーその弐ー
後日、不死川に会った時に話を聞いた。
「え?アイツ泳いだの?」
「?あぁ、浮き輪でバシャバシャ泳いでた。」
「はあー…」
何だそりゃ。
アイツ、本番は強いのか。
「で、一つ気になることを言ってたんだが。」
「あ?」
「『先輩と一緒に練習したの~』ってなァ?どこのどいつかなァ、その先輩ってのわァ…。」
わ~。
すんげぇめんどくせぇ。
「うんうん、誰だろうなぁ。親切な奴もいたもんだ。」
不死川の顔にピキピキと血管が浮かぶ。めんどくせぇ~。
「宇髄…、テメェ」
「知らん知らん。俺もう帰るわ。」
「待てよ」
あぁコイツまじだな。
まじに話をしに来たんだ。
めんどくせぇ~。
「アホ、後輩の彼女手を出すかよ。俺と霧雨はそんなんじゃねぇ。」
「じゃあ何なんだよ。」
……。
「先輩と後輩だ。」
めんどくせぇ~。
今も昔も先輩と後輩だっつーの。
俺はただ全部自分でやろうとするあの人にヤジ飛ばすだけ。特に何もできないけどな。
「………。」
「そんな心の狭いこと言わずにお前はかわいい彼女がいることにド派手に感謝しろや。ぶっ飛ばすぞ。」
「うっせ。」
もう重傷だな。
「まあまあ、アイツの水着姿見てうはうはしたんだろ?良かったじゃねえか。」
「してねえよ!!つかやっぱりお前アイツと一緒にいたんじゃねえか!!!」
「ははは」
俺はひらひらと手を振ってその場を去ろうとした。
が、不死川に止められた。
「…で、アイツと何話してたんだよ」
「あ?」
…前言撤回。
「お前…かわいい奴だなぁ、霧雨のことになるとよ。」
「何キモいこと言ってんだよ!?」
俺は不死川にうまいケーキを奢ってやって、機嫌をとってから別れた。
ああ、そこそこ進展したみたいだし…。
めんどくせぇけど、もう少し見守ってやるか。