第5章 岩が霞に笑うのでーその壱ー
「き、霧雨様」
怯えたように隠が私に話しかけてきた。
任務もなく、茶屋で店員と話していた私は全く周囲を警戒していなかったので、少し驚きました。
昼なので鬼はいないはずですが?それに、何でわざわざ私に話しかけるのでしょうか。
「何でしょう」
「あの、少し困ったことがありまして…」
ついてきてほしいと言うのでついていきました。
その道中で話してくれた。
「子供が、鬼殺隊のことについて根掘り葉掘り聞いてくるのです。鬼に親を殺された子供たちのようで。」
「…それは、困りましたね。」
「お前では相手にならない、もっと詳しい人をつれてこいと…たまたまお見かけしたので…。」
「そうですか。まぁかまいませんが。」
そうして目的地についたところで、私は声をあげた。
「あらぁ」
私はその姿を見かけ、にこり微笑んだ。
「あらあらあら」
しゃがんで目線を合わせた。
「こんにちは、かわいい子供たち。」
姉妹でしょうか。きれいな顔立ちの女の子が二人いました。幼くあどけない瞳は私を見つめていました。
「あなたが鬼殺隊に詳しい人なの?」
妹でしょうか。小さい子がとげのある言い方をしました。
「えぇ、詳しいのですよ。」
刀は羽織に隠してあるので見えません。子供相手に警戒させてしまいますからね
「お兄さんを困らせてはいけませんよう、子供たち。さぁお家に帰りましょうね。」
「はぁ??帰らないわよ。もう家なんてないんだから!!私達は…親を殺されたのよ!!」
その小さな体からすさまじい怒りと憎しみが感じられました。
「そうですか。帰る場所がないなら新しいお家を紹介しましょうね。お金は私がもってあげます。」
「申し訳ございません。」
怒り狂う妹をおさえ、姉が口を開きました。
「私たちは鬼殺隊になりたい…。そのためにこの方に質問をしていたのです。」
妹と比べ、幾分か大人しい子でした。