第18章 寂しい気持ち
「ねみいいいいいい〜〜〜」
やる気のない、だらけた声を出した桜くん。
今日は産屋敷邸で柱合会議。私はいつも通り正座でお館様がくるのを待っていたけれど、桜くんは畳の上で寝転んでいました。
柱が二人だけになってしまってはや一ヶ月。激務で参っている中、鬼殺隊も人が減っており課題は山積みなので会議の回数が増えています。
貴重な休憩時間を削ってこの場にいるわけですが、会議も立派なお仕事。…桜くんは気にしていないみたいだけど。
「霧雨さん、疲れてないの?」
「疲れない特別な呼吸法があるんです。」
「ほんと?」
「嘘です」
「だろうね」
桜くんは大きな大きなあくびをこぼした。私もつられて出そうになったけど我慢した。
「帰りた…」
挙げ句の果てに堂々とそんなことを言った。お館様が聞いたら流石に怒るんだろうか。
「家出た時からもう帰りたいよね。朝起きた時から眠たいみたいに。」
「言っている意味がわかりません。」
「はあーーーーー」
桜くんは次に大きなため息をついた。
流石に態度が問題ではないかと思い、注意しようとした時にお館様が部屋に入ってきた。
その時になるとさすがにのっそりと体を起こして桜くんは姿勢を正した。
「あえ!?」
思わず私は変な声を出しちゃった。
なぜならお館様の隣に美しい一人の女性がいらっしゃったから。
その人は声を出した私に目を向け、次にこの世で最も奇妙なものを見るみたいに顔を引きつらせている桜くんに目を落として固まった。
「………………………………………………………………………………………………………………………………………本日もこうしてお目にかかることができまして光栄ですお館様。柱二人、揃っております。」
色々考えた末、私はその人から視線を逸らして親方様だけを視界に移した。
桜くんは女性には触れずにいつも通り挨拶をした。
私たちに無視された女性は表情を変えることなく親方様の隣でお上品に正座していた。