第3章 最悪な出会い
というか、慌てていて全然よく見ていなかったが、目の前の男は相当顔が整っていた。俗にいうイケメンというやつだ。
真白と同じ真っ黒な髪の毛。顔にかかっている髪を耳にかけると、無数に空いたピアス穴が目立つ。
身長は高め。見上げる形で首をあげているので、正直痛い。
質の良さそうなデニムパンツを纏った体躯は、明らかに男性のもので、その下に隠されている筋肉を想像したところで真白はおもいきり目を逸らした。
「あ〜、あれだわ。あれ」
…え?どれ?
頭をガシガシと掻きながら言われても、まったく分からない。意味が伝わってこず混乱する真白に、男は黙って近づき、ベッドに手をついてくる。
ギシ、とスプリングが軋み、手が置かれた部分に体重がかかっていることを知らせる。なんで近づいてくるんだろう、そう思った瞬間、
「…え」
真白は組み敷かれていた。
いや、ちょっと待って。
まず、この人は誰?顔はまったく見覚えがないから初対面だと思う。いや、絶対初対面。
そしてなんで私は裸?脱がせたってさっき言ってたけどなんのために?
というかここどこ?どうなってるの??
いや、ちかいちかいちかいちかいちかい!!
溢れて止まらない疑問が真白の脳内を占領する。軽くパニックに陥っていると、そんなことを気にもしていないのか目の前の知らない男は真白の髪をひと房つまむ。
「………………」
「………………」
え?いや、なんの時間?これ。
「あの…離れて貰えますか」
「なんで?」
なんでって、分からないの!?この人!!
真白が猛抗議しようとしたその時、
男の大きい手がブランケットの上から、真白の胸を鷲掴んだ。