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ONE PIECE短編集

第13章 囚われたのは(トラファルガー・ロー)



「お前っ、Ωか!?」
「…っ」

掴まれた腕が熱い。Ωを支配しようとするαの香り。
脳まで浸透していく支配の香りに、Ωの本能が支配されようと自らその腕に手を絡める。
視界に映るトラファルガーが慌てている。

何故急に発情したのかわからない。
前回は先月きているし、薬で完全に押さえ込んでいる。
本来ならこんな時期にくるはずがないのだ。

しかし例外を知っている。

運命の番と対したとき、薬でも押さえ込めない強烈な発情がくると聞いたことがあるのだ。

この任務に就いてから、先ほどの作業中に異変に気付いた。
いつも何があっても大丈夫なように発情を押さえる薬を服用しているが、それでも抗えない香りが鼻腔を擽る。再度発情を抑える薬を服用するが、その香りに触発された体は熱を引かずさらに加速させていく。
この匂いの元はだれか。
不特定多数がいたあの場では誰がそうなのか検討も付かず、一先ず落ち着くまで一人になろうと自分の作業部屋に来ていた。
離れても一度認識してしまったからか、甘い香りが離れず、治まらない熱にどうしようかと困惑している時に誰かが入ってきた。
途端に強くなる動悸と香り。
間違いなく番は今来た人物だ。

「魔女屋か」

屋号で呼ぶその独特さ、今回の任務に召集されたトラファルガー・ローだ。
運命の番かもしれない相手が海賊だと知り愕然とする。もはや幸せな未来など考えられない相手じゃないか。

やつが何か言っているがもう頭に入ってこない。
息は上がるし体が熱くクラクラする。
強烈な発情に頭が働かず、ちらりと見えたトラファルガーにどしようもなく欲情している。

「ほらみろ、だから…っ」

抱き止められ、トラファルガーの匂いが間近で感じられる。
あぁだめだ。トラファルガーが放つ強烈な香りに体が支配されたがっていて、男の体にすがりそうな手を制するのが精一杯。

「ぅっ…離れ、てっ」
「くそ、お前…」

なんで薬飲んでねぇんだと言うがすでに飲んでいる。
それを途切れがちに言えばトラファルガーが目を見開く。
【運命の番】に気付いた男にもう一度離れろと言う。この男の能力なら可能なはずだ。
いくら運命と言えど、いま離れて二度と会わなければいいはずだ。体が多少辛かろうが海賊と番など、障害にしかならない。



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