第12章 放課後の保健室(トラファルガー・ロー)
「真っ当な教師は生徒に手ェ出さねェよ」
顎を掬われ上を向かされればふってくる唇。
動かないように顎から後頭部へと手が移り、髪の毛をつかんで更に上を仰がされれば不安定に揺れる体は彼のカーディガンをつかんだ。
「…っ、誰か来たらどうするの。やめて」
「こねェよ」
「そんなの、わからな……んっ」
ぬるぬると固く閉じた唇の隙間を肉厚な舌が行き来する。
侵入を許したら流されてしまうと抵抗するが、息をするのに口を開けてしまい、その隙に唾液と共に舌が入り込んできた。
くちゅ、と静かな空間に卑猥な音が響き、まずいと思いながらも苦しいくらいの気持ちよさに瞳を閉じてしまう。
しばらく続けられればすっかり蕩けた瞳に、したり顔のローが写った。
「声我慢しろよ」
「え、ちょっ…」
軽々と抱き上げ、定位置となった一番奥のベッドにクロエと共に入ったローは、後ろ手でカーテンを閉めた。
「やだ、また他にも生徒が…」
「だから声抑えてろって」
白衣の前を開きシャツをたくしあげる。
首にかぶりつけば慌てて手の甲で口元を抑えるクロエ。
耳の裏やうなじ、胸元とギリギリ隠れそうな位置に痕をつけていく男の髪の毛に指を絡ませ肌を這う唇に一瞬気持ちよくうっとりと撫でたが、はっと我に返り体を押す。
「ここではやめてっ」
「そんな顔で煽るのが悪ぃ」
狭いベッドに押さえつけて馬乗りになった男は、赤く染まる耳に猫なで声で囁き、その柔らかな体に手を這わした。
「特別授業といこうぜ、センセ」
おわり。