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ONE PIECE短編集

第1章 「愛してる」って最低の言葉(ロブ・ルッチ)



「まぁ、お前さんの気持ちもわからんでもないがな」
「フン」

カクは冷静にずっと見てきただけあって、ルッチの考えがわかったのだろう。
彼女を施設に連れ帰ったとしても、自分の手元に置いておくのは難しい。
能力のある彼女だからこそ、色々なところに引っ張られ、利用される。
危険な事にも立ち会うだろうし、なにより自分の下から離れるということが不服だった。

「それなら自らの手でその生涯を終わらせるまで、か」

難しい恋はしたくねぇな、とブルーノが言う。
確かにそうだと思った。だが不思議と後悔や悲しみはない。
元々そういった感情が無いに等しい自分は、あまり影響を受けないだろうと思っていた。
だが一般論としては恋人を失って、悲しみもなければ自らが殺したことに後悔を抱かない人がいるだろうか。

手にこびり付く液体を見て、ふと思う。
確かに自分は彼女をこの手で殺した。まだ生暖かい彼女の体温を感じられる。
そして、不思議と彼女の存在をずっと感じるのだ。
自分が殺したということが脳に焼きつき、いつでも彼女の存在が感じられる。

(死してなお、俺の心に住み着こうとするのか)

自ら殺すことによって、その存在をより強く心に残そうとしたことを、ルッチは認めた。
自らが彼女を心に縛り付けることを望んだのだ、と。

「用事は済んだ。エニエスロビーにフランキーを連行するぞ」

妙に、澄んだ気分だった。






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