第9章 緩やかにいま墜ちてゆく(トラファルガー・ロー)
「潮吹く程良かったか?」
少し体を離したローが今だ繋がったままクロエを様子を伺う。
宙を見つめる視線を絡めたくて頬に手を添えれば、ゆっくりとした動作でローを見た。
切なげに潤む瞳に薄く開くぽってりとした唇。
鎖で強制的とはいえ首に回されて甘えるかのように抱きつく姿に再び下半身に熱が集まる。
今だ自分に埋まる塊が熱を持ち始めたのに気付いたのだろう、動かなかった体を精一杯ローから離そうともがき始めた。
「なんで逃げる」
「っ、も…やだっ」
逃げようと体を離した時に浮いた腰を掴み、再び打ち付ける。
ナカをかき混ぜるように動けば先程の精液が結合部から漏れ出てクロエの尻を伝う。
「まだ時間はある」
音を響かせるようにゆっくりと腰を回す。
それだけでクロエの体は再び熱を持つ。
先程とは違い、スローな動き。
クロエの表情をつぶさに見て新たなポイントを探しているかのよう。
弱い刺激でもビクビクと脚を揺らし、手を伸ばしてローの体を押し退けようとする。
そんなクロエの手に指を絡めて口許に引き寄せる。
自分より細く白い指の一本一本にキスを落とし、最後に見せつけるようにベロリと舌を出して指を2本咥えた。
腰をゆっくりとグラインドしながら咥えた指を丁寧になめていく。
ぐにぐにと固くした舌先と上顎で擦り、強弱を付けながら吸えば、顔を真っ赤にして涙ぐむクロエと目があった。
「指も性感帯か」
「んっ…ぅ…」
震える指と連動するように、クロエのナカがきゅっと締まる。
ゆっくりと良い所を行き来するローの熱に、鈍くもゾワゾワと感じ始める指。
経験したことの無い感覚に、ぎゅっと耐えるように瞑った目尻から涙が溢れる。
「良い顔だ…」
指から離れ、涙の痕に唇を寄せる。
そのまま耳元に滑らせ、柔らかく息を吹き込んだ。
「もっと泣かせたくなる」
「ひっ…」
囁くと同時にぐっと熱を奥に押し込めば、またぽろっと涙が零れる。
「や、…みみ!離れて…」
「なんでだ。これだけでも気持ちいいんだろ」
「ぅ、あっ…」
結合部をぴったりと密着させ、深く入ったままグリグリと腰を押し付けながら耳朶を舐めてやれば、かわいそうなくらいに脚が跳ねる。
「しゃべ…らないでっ」
「俺の声に感じんのか」
「んっ…あっやっ…」