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ONE PIECE短編集

第8章 はろー、所有者!(トラファルガー・ロー)


私は刀。

名を鬼哭という。

遥か昔、無名だった刀匠が打ち込んだ私は彼が死んだのち時を経て妖刀となった。

私の所有者は呪われる。

そう言われ始めてからどれだけの所有者を見てきたことか。

妖刀と言われてるだけあって私を持つ人間は皆特殊な奴らばかり。

その歴代の所有者のなかでも今の所有者はさらに変わったやつだ。


(あぁ、また寝なかったわね)


担ぎ上げられた私は所有者であるローを見る。

隈がさらにひどいじゃないか。

一晩中電気が付いていた部屋で机に向かっていた彼を隣に立て掛けられた私は見ていた。

整った小さな顔に高身長で筋肉質だが細身で足が長い。さらに医者とくれば誰もが羨む高スペック男なのだ。

しかし寝不足からくる濃い隈に身体中にある物騒な刺青。そして、極めつけは海賊。

悪い男が好きな人間ならいいだろうがおおよそ一般人では近づけない。

そんな彼は賞金首と呼ばれるもので、億越えたと彼の仲間達が騒いでいたのは記憶に新しい。

懸賞金があがれば嬉しいことなのか。


「ベポ、街いくぞ」

「アイアイ」


白熊を伴ったローは船を降りる。

そしていつもの通り私を白熊に持たせるのだ。








その日は突然だった。


「誰だ…」


誰もいない部屋で医学書を読んでいたローがいきなり辺りを見渡して呟く。

私も側に立て掛けられながら、昼間に街で聴いた歌を口ずさんでいた。

口なんてないけど、気分で。

そうマッタリとしていたのだが、ローの鋭くなった目付きに私も緊張する。

見えないナニかが居るのだろうか。私には見えないけど。


(ロー!私をもって!)


何かあったら危ないから身に付けてほしい。

自分も気配を探りながら伝わらないながらも訴える。


「…もつ……??」


またローが呟く。


(そう!私をもってかまえてなきゃ危ないよ!)


ローの言葉にうんうんと頷きながら心の中で急かす。

すると、辺りを見渡していたローがこちらを凝視する。

え、私の回りに怪しい何かがあるのだろうか。


「まさか…いや、ありえねェ」


目の鋭さはなくなったが何やら混乱し始めたロー。

私を見てぶつぶつと言っている。


(大丈夫…かな?なんかヤバいのにでも当てられたのかな…だから私を持ってって言ったのに)

「…また聞こえる。やっばりお前か?」

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