第7章 扉は必ずノックしようね(トラファルガー・ロー)
今日は一日任務はなし。
おまけに隣にはローがいる。
うん、今日は最高の気分。
久しぶりの2人そろっての一日フリーで、今は何をするわけでもなくローの部屋にいる。
大きめのベッドに二人寝転がり、クロエは溜まっていた雑誌の読み漁り、
ローはベッド脇の小棚で刀の手入れをしていた。
静かで物音といえば、たまに外から聞こえるクルー達の笑い声くらい。
気持ちの良い雰囲気のお陰で、ウトウトとクロエは船を漕ぎはじめていた。
すると、クロエが寝転がっているクッションに振動が。
隣を見ると手入れを終えたローがクロエの邪魔な髪の毛を払いのけながら仰向けに寝転がっていた。
その長い手足をベッドの上で組み、凝ったであろう首をコキコキと鳴らす。
クロエも雑誌を横に置き、寝転がったローの肩に自分の頭を乗せた。
「眠いのか?」
「んー...少し」
ローが喋るたびに彼の体内を響かせる音に身を任せてクロエは目を瞑る。
彼の呼吸に合わせて自分も呼吸をしているのに内心笑い、より一層くっついた。
彼のほうを向き、組まれている手を引き離し、片方を自分の手を絡める。
やっと落ち着ける体制になると、いよいよ本格的にクロエは身体の力を抜く。
心地よい眠りの波が身体中を巡った。
「悪いな、クロエ」
「?」
すとん、とクッションに落ちる自分の頭。隣になくなるローの体温。
手放しかけていた意識を取り戻し、目を開ける。
寝転がっていたローは、いつの間にかクロエの両手を掴み、彼女の上にいた。
何を見ているのやら、じっと首の辺りを見つめている。
「ロー...?私さっき眠いって言った...っ」
喋るのを止めるかのように首に手を添えたローは、喉を震わす場所に少し力を加えると、クロエは「くっ」と息を詰まらせた。
「なに、を...」
「悪いな、クロエ。まだ寝かせられそうにねぇ」
ゾクッと腰に響く声色に、なされるがままに口を塞がれた。
手首を掴んでいた片方の手を放し、代わりに頭を固定される。
より深く、口内に忍び込もうとするローにクロエの肺は大きく上下し、
それを確かめるかのようにローの手は首から下がっていった。