第7章 その瞳にうつるのは❄︎【時透無一郎】
屋敷に戻ると、まだ雪柳は帰っていなかった。
僕より近場のはずなのに…と一瞬思うが、柱の僕とは違うかと考え直し、順調ならもう少ししたら帰って来れるだろうと思い直す。
「お館様に報告書を書かなきゃ…」
ひとまず報告書を書き、女鬼の言っていた"1週間頑張ることね"という言葉を思い出し、何かあってからでは迷惑をかけると思い報告書に1週間ほどお休みをいただきます、と書き鎹烏に届けるように伝えた。
その後、刀の手入れを済ませ、そろそろ雪柳が帰ってくる頃かなと思い部屋を出た。
居間の近くに雪柳の気配を感じ、そちらを見ると雪柳と目が合った。
どくり…
「!?」
身体の奥から身体が疼き出す。
雪柳と目が合った瞬間、雪柳を抱き寄せた。
雪柳を見ると、雪柳は頬を紅潮させ潤んだ瞳で僕を見下ろしていた。
『時透…くん…っ』
そう呟く雪柳の唇に目を奪われ、雪柳の身体を離し、その代わりに腕を引くと居間を出て、自室へ向かった。
『とっ、時透くん?どうしたの?』
雪柳の困ったような声が後ろから聞こえるが、それに答えることなくずんずん廊下を進み、自室の襖を開け自室に入る。
襖を完全に閉めるよりも先に、雪柳を抱き寄せ口づけをする。
初めは触れるような口づけをし、少しずつ深くなる口づけ。
あぁ、気持ちがいい…
僕はそう思いつつ、舌を絡める。
突然、雪柳の身体がびくびくと震え足の力が抜け、がくんと座り込む。
『あっ…はぁ…はぁ…』
目に涙を浮かべ、頬を紅潮させ、息が上がり、身体をびくびくと震わせている。
「雪柳、イったの?口づけだけで…ふっ」
僕の身体もどこかおかしい。
口づけだけでイきそうだし、口づけだけで身体が熱い。
それを隠すように雪柳に口づけを再度する。
『あっ…らめ…っ』
合わせた口の隙間から、くぐもった雪柳の声が聞こえたがそれを無視し口内を舌でなぞる。
その間も雪柳はびくびくを身体を震わせると、時折り大きく痙攣する。
口を離すと銀色の糸が繋がり、ぷつりと切れた。
「良い表情だね、雪柳」
僕はそう言うと、雪柳の隊服の釦に手を伸ばした。