第7章 その瞳にうつるのは❄︎【時透無一郎】
『もう煩いわね、ちょっと黙っててくれるかしら』
わたしがそう言うと、男鬼はニタリと笑うと
「こんな上玉逃したくないんでね。良い身体してるんだ、慰みものになってくれよ、嬢ちゃん」
『わたしは鬼狩りよ。鬼の慰みものにならないわ!』
わたしは男鬼の頸を斬りにかかる。
男鬼は舌舐めずりしながら、ひょいっと避けた。
「豊満な胸に、良い腰付き。たまんないね〜」
『もう、いい加減にしてください!』
わたしは鬼の足元を狙い、足を斬り落とした。
「ぎゃぁ!!」
男鬼は苦渋な表情を浮かべ、わたしから距離を置こうとする。
わたしは大股で鬼に近づき、満面の笑みを浮かべ
『地獄に堕ちろ!この変態っ!』
男鬼の頸を斬り落す。
頸はごろりと地面を転がり、わたしと目が合った。
「あぁ、残念だ。いい身体付きの嬢ちゃん、逃したくなかったのに…。俺の頸を斬った代償はでけぇぞ、嬢ちゃん。1週間、精々苦しむんだな、性的な意味で」
男鬼はそう言うと灰の様に跡形もなく消えた。
『まったく、何が代償よ。何が1週間苦しむよ!何が性的な意味よ!!』
わたしは怒ると、近くに待機していた鎹烏が来た。
「椿姫、怒るのはそれまでにして後処理をして帰るわよ」
『えぇ、そうね』
わたしは後処理を済ませると、鬼の言った事にほんの少しの不安を残しつつも帰宅することにした。
まさか、あんなことになるとは思ってもみなかった。
❄︎
『やっと帰宅したわ…お館様への報告書届けてくれるかしら?鬼の言っていた1週間苦しむ、性的な意味でってのが引っかかるのよね…1週間、お休みを頂けるように書いたから、早めに届けて欲しいの』
わたしは疲れているだろう鎹烏にそう申し訳なさそうに頼むと、鎹烏は気にした素振りもなく頷いた。
鎹烏の足に文を括り付けると、『お願いね』と見送った。
『あとは…時透くんにも書き置きを残しておかないと…』
わたしは簡単に要点をまとめて書き出すと、居間の机の上に書き置きを置いておこうと部屋を出た。
居間の机の上に書き置きを置き、部屋に戻る途中、時透くんと鉢合わせをしてしまった。
目が合った瞬間、身体に電気が走るような感覚と、身体の奥から広がる欲望に身体を侵食され始める。
『!?』
気付いたらわたしは時透くんに抱きしめられていた。
❄︎