第1章 幸せのかたち【伊黒小芭内】
「…好きだ、椿姫」
椿姫はほんの少し目を見開き、そのあと優しく微笑むと俺の頬に手を伸ばして
『わたしも好きです、小芭内さん。大好きです』
はにかみつつ言った。
俺は柄にもなく、嬉しくなってもう1度唇を合わせた。
『んっ…』
舌を絡めると、ぎこちないながらも椿姫も舌を絡めてくる。
そんな姿に愛おしい気持ちが溢れてくる。
ほんの少し意地悪をしたくなった俺は、口付けをしながら背中を上から下に触るか触らないかのギリギリでなぞった。
『っん!?』
それに椿姫は身体をビクつかせた。
俺はそれに気づかないフリをして、今度は首筋を指先でなぞる。
『んっ…あ、あっ…んんっ……』
椿姫は身体をビクつかせながら、一生懸命に舌を絡める。その唇の隙間から声が漏れた。
唇を離すとお互いの唇から一筋の銀の糸が引いていた。
「ふっ…かわいいな、椿姫」
俺のその言葉に、椿姫は驚いた表情を浮かべたと思ったら、俺の胸元に顔を埋めた。
「どうした?椿姫」
『……い、です…』
「うん?」
『ずるい、です…小芭内さん…』
胸元から顔を上げると、唇を尖らせるように拗ねていた。
「ふふ、そんなことはない」
俺は椿姫の身体を離し、ゆっくり布団に寝かせると椿姫はその瞳にほんの少しの不安を滲ませた。
俺は椿姫の顔を横に手を付き、椿姫の瞳を覗き込みながら、
「…怖いか?」
と聞くと
『…少し。でも、大丈夫です』
椿姫は微笑み、俺の頬に手を伸ばした。
『小芭内さん、わたしを貰ってくれますか…?』
「あぁ、最後まで貰ってやる」
俺は椿姫の頬を優しく撫でると、触れるだけの口付けをした。
『んっ…』
俺は椿姫の浴衣の上から、柔らかい胸に触れた。
優しく胸を揉むように愛撫する。
その刺激に椿姫は身体をびくりと震わせる。
『あっ…んっ…』
椿姫は声を抑えるかのように、手の甲で口を押さえる。
「椿姫、手で塞ぐな」
椿姫の手を退かしながら、耳元で呟く。
その刺激にも椿姫は身体を震わせながら、口から声が漏れた。
『ひっ…あ…っ』