第4章 蛇柱さんはねちっこい【伊黒小芭内】
わたしは寝室に戻り髪の毛をタオルで拭くと、仕上げに髪の毛にいつも使っている香油を馴染ませる。
香油を馴染ませた髪の毛を櫛で丁寧に梳く。
香油を使うと髪の毛がサラサラになるし、いい匂いがするのだ。
『ふふふ、いい匂い』
一通りのことを済ませると、見計らったかのように小芭内さんが戻ってきた。
『小芭内さん!』
わたしは振り返り、小芭内さんに笑みを浮かべる。
小芭内さんは首にタオルをかけたまま、髪の毛から滴り落ちる雫をそのままにわたしの隣に座った。
『まぁ!小芭内さん、いつも髪の毛の水気をとってくるのに…今日はどうしたんですか?』
わたしは首にかけたままのタオルを取り、小芭内さんの黒く艶やかな髪の毛の水分をタオルで優しく拭く。
「あぁ…」
どこか上の空な小芭内さんに小首を傾げつつも、普段できない小芭内さんの髪の毛のケアを済ませる。
『はい、小芭内さんできましたよ!わたしと同じ香油を付けてみました!』
わたしは小芭内さんの顔を覗き込み、にこりと笑う。
小芭内さんも釣られるように微笑むと、わたしの手を引き抱き寄せる。
「椿姫…もう我慢できない…いいか?」
普段の小芭内さんらしくないが、求めるときはとことん求める人だと思い直し、わたしはこくりと頷く。
それを見た小芭内さんは唇に触れるだけの口づけを落とし、わたしを布団の上に押し倒す。
「…椿姫」
小芭内さんは色っぽい表情を浮かべ、少し潤んだ瞳でわたしの目を覗き込んだ。
その姿にはっと息を飲み、わたしは一瞬息をすることを忘れる。
「先に謝っておこう…今日は寝かせられない」
『え…?』
どういうことですか?と言おうと口を開くと、それを見逃すことをしない小芭内さんの舌がわたしのそれに絡める。
『んんんっ…』
小芭内さんの舌がわたしの舌を絡め、ときおり歯列をなぞるように動き、わたしの舌をちゅうっと吸う。
『んっ…ふぅ…ぅ…はぁ…』
わたしの口からはくぐもった声と、吐息が漏れ出てくるだけだった。
しばらくわたしの口内を弄び、満足したのかゆっくりと顔を離し、小芭内さんはぺろりと唇を舐めた。
その瞳はさきほどと同じ欲の炎が、瞳の奥で揺らめいていた。
❄︎