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【鬼滅の刃】雪夜の花【短・中編集】

第4章 蛇柱さんはねちっこい【伊黒小芭内】



冨岡さんと胡蝶さんとの関係が夫婦に見えないのだろう。
特に冨岡さんの言葉足らずなところが…

わたしはそう予想すると、

 『…たしかに、わたしたちのほうが適任かもですね』

と小芭内さんに微笑むと、小芭内さんは照れ隠しのようにネチネチと言葉を紡いだ。

 「当たり前だ!冨岡より俺の方が表情豊かだ!もちろん、俺は話すことも聞くことも好きだ。椿姫を誰よりも想っているのはこの俺だ!………(この後しばらくネチネチ話し続けた)」

わたしは、小芭内さんの俺がどれだけお前が好きかを聞くのが恥ずかしくなり、縮こまる勢いだった。

甘味処の女将さん、お客さんが時折り黄色い悲鳴を上げるのが聞こえる。
つまり、全部筒抜けなのだ…
穴があったら入りたいとはこのことか…とそう思ったのだった。

❄︎

 『もうっ!小芭内さんがずっっっっと!!あんなことを言うから!!わたしがどれだけ恥ずかしかったか!!』

椿姫はその愛らしい頬をぷくーっと膨らませ、怒っている。
その姿さえ可愛らしい…

内心そう思っていると、それも椿姫に怒られてしまう。

 『小芭内さんっ!聞いてますかっ!!』

 「あぁ、聞いている。普段の椿姫も可愛いが、怒っていても可愛いな」

そういうとまた頬を赤く染め、

 『もっもうっ!』

照れているのを知っている俺は椿姫の小さな手をとり、ぎゅっと握り任務のための下調べを始めた。

❄︎

そして夜。
わたしたちは隊服に着替えることなく、昼間と同じ格好で鬼が出ているとされる場所に来ていた。

 『ここは…街灯があっても薄暗いですね…』

わたしは寄り添うように、小芭内さんに近づき抱きつく。

 「あぁ…ここは逢引きにも、鬼にも都合が良いだろうな」

小芭内さんはわたしの頬を撫でながら、視線だけを周りに向けている。

今回の鬼は、男女でいると襲われる…らしい。
そのために夫婦役なのだそうだ。
…恋人でも良いのでは……?そう思ったことは、口には出さなかった。

 『たしかに…この暗さなら誰がいるかなんてわかりませんよね』

小芭内さんは一度、わたしの目を見つめると唇に触れるだけの口づけをした。

 「椿姫…気付いたか?」

小芭内さんは視線を逸らし一言聞いてくる。
わたしは静かにほんの少し頷いた。

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