第3章 花のように微笑む君は【伊黒小芭内】
わたしはくすぐったい気持ちでいっぱいだった。
これが幸せなんだろう。
そう思った。
❄︎
あれから3ヶ月が経った頃、わたしは藤の家紋の家を閉めることにした。
本当はわたしの命が続く限り、鬼狩りさまの役に立ちたいと誓ったが、いまは伊黒さま…小芭内さんの妻になるためそう決断したのだ。
「椿姫、準備はできたか?」
小芭内さんがわたしの寝室に顔を出す。
『えぇ、これをまとめれば終わりです』
そういうと、小芭内さんはそうかと優しく微笑む。
わたしたちは、結婚を前提にお付き合いを始め、すぐに祝言を上げるかとなったのだった。
お互い一目惚れだったから、必然的にそうなったのだ(わたしの一目惚れのことは小芭内さんには内緒なのだ)。
『初めてお館様にご挨拶するの緊張しますね…』
わたしは小芭内さんに微笑むと、小芭内さんは優しく抱き寄せ頬に手を添える。
その手でゆっくり頬を撫でると、愛おしそうに微笑みながら
「俺がそばにいる、大丈夫だ。それにお館様はとてもお優しい方だ」
『はい、なら安心ですね』
わたしたちはしばらく見つめ合い、ほんの少し触れるだけの口づけをした。
そして、住んでいた町から小芭内さんのお屋敷に引っ越しをした。
住んでいた場所を離れるのはほんの少し寂しい。
それでも、嬉しい気持ちの方が上回るのは小芭内さんが愛おしいから…そう思った。
❄︎
お館様へのご挨拶が終わり、柱の方々にもご挨拶をすると、顔見知りの方がいて驚いた顔をされた。
「おいおい…伊黒が祝言上げるっていうからどうしたのかと思ったら…こりゃぁ派手に別嬪じゃねぇか…」
目元に特徴的なメイクをしている柱の方(あとから宇髄さまだと聞いた)が口をあぽーんと開けていた。
「まぁ!伊黒さん!おめでとう!私、嬉しいわ!」
ピンク色から薄い黄緑色のグラデーションの髪の毛の女の子(こちらは蜜璃さんだと聞いた)は頬を赤く染めて嬉しそうにしていた。
わたしは柱のみなさんから慕われている小芭内さんが少し誇らしかった。
しばらく柱の方々としばらくお話をしてから、小芭内さんのお屋敷に戻った。
❄︎