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【鬼滅の刃】雪夜の花【短・中編集】

第14章 きみは手のひらの上 罪と罰❄︎【善逸・無一郎】



学校から帰り、携帯を開くと数十分前に椿姫さんからメッセージが入っていたのに気づき、メッセージアプリを開く。

ふたり並んだ頭の色の違う双子の写真と、メッセージを見ると「まだ名前が決まってません。数日後、一緒に退院します。それまでに名前を決めないと。黒髪の子はね、無一郎と同じ瞳の男の子。金髪の子はわたしと同じ瞳の色なの」と書かれていた。

「僕の子どももいるんだ…。善逸さんじゃなくて、僕と入籍できるのに…なんで…」

電話で言われた「入籍は善逸と」が頭の中で反響し、心の中から黒く濁ったものがドロドロと溢れ出す。

「どうして…なんで…どうしたら、椿姫さんが僕だけのものになるの…?」

それをただひたすら考えたが、答えは見つかることなかった。
椿姫さんにも、「善逸さんじゃなくて僕と結婚してよ。僕とも血が繋がってるんだよね?なら、問題ないよね?」とメッセージを送っても、電話をしても返事は返ってこなかった。

善逸さんにそれを言うと、善逸さんは困ったように笑って

「俺は両親や椿姫、椿姫のおじいさんとおばあさんが決めたことを辞退しないよ」

とそう言った。

「それに、いまの無一郎は本当に椿姫のことを考えてる?いまのままでは椿姫に会わせられないよ」

と、本当に困った顔をした。

「これから用事があるから、ごめん」

そう言うと、善逸さんは家に入った。

僕は両親にも抗議をしたが、善逸さんに言われたこととほぼ同じことを言われた。

「いまの貴方を椿姫ちゃんに会わせられない」
「そのなんでも思い通りにならないと分かったときの、貴方の顔すごく怖いの」

どうして?なんで?分かってくれないの?
僕は椿姫さんにただ会いたいだけなのに。
椿姫さんをお嫁さんにしたいだけなのに。

ほぼ平行線のまま、僕の話を聞いてくれることはなかった。

そして双子の名前が決まったと連絡がきた。
春に生まれたから"陽"の字を入れて、長男の善逸さんに似た男の子が陽輝(はるき)、次男の僕に似た男の子が陽翠(ひすい)にしたそうだ。

そして月日が流れ9月3日、善逸さんの誕生日が来て椿姫さんと善逸さんは入籍した。

大切な人である椿姫さんが、恋敵である善逸さんと夫婦になった。

❄︎

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