第14章 きみは手のひらの上 罪と罰❄︎【善逸・無一郎】
椿姫さんと引き離されて、半年が経った。
僕はその間に何度も告白をされ続けた。
椿姫さん以外と付き合いたいとも、触れたいとも思えず全部断った。
そして、学校から帰ると椿姫さんから連絡があったとお母さんに言われた。
僕は慌てて善逸さんの家に行き、善逸さんにそのことを伝えると善逸さんもそれを聞いた後だったらしい。
僕たちは椿姫さんの携帯に電話をかけた。
スピーカーにして数回のコールの後にぷつりと音がして、遅れるように椿姫さんの声が聞こえた。
『…もしもし』
「も、もしもしっ」
僕の声が上擦った。
『…元気にしてた?』
「うん、元気だったよ」
善逸さんがそう言うと、
『あ、いまふたりいるの?』
「いるよ。善逸さんと一緒」
『そっか、なら1回で話せるね』
椿姫さんはそう言って話始めた。
『わたし双子を妊娠してるの』
「「え?」」
『ビックリするよね。おじいちゃんとおばあちゃんが話にそっちに行ったときに、もう分かってたんだけどね。安定期になる頃になるまで言わないことにしてたの』
椿姫さんはその他にもいろんなことを話して、最後に
『それで、ね。結婚の話をどうしようかなって思ってて』
そう言った後に付け足すように、しばらくはこっちにいて帰るのはまだ先なんだけどねと言った。
「誰と籍を入れるの?」
僕は震える声でそう聞くと、椿姫さんは少し黙り込んでから口を開いた。
『……善逸だよ。おじいちゃんとおばあちゃんが決めたの。今日、善逸と無一郎の両親にも話したみたい。それで、善逸が嫌じゃなかったら、なんだけど…わたしと籍を入れてほしいの』
その一言が、僕には残酷に聞こえて仕方がなかった。
「あ、うん。18歳になったらすぐ入れるの?卒業してから?」
『その辺はこれから話し合いで決めるみたい』
そこからの会話はあまり覚えていない。
僕の方が善逸さんより、椿姫さんを好きなのに…そう思うと同時に、ドス黒い感情がどろりと溢れ出るのを感じた。
『…とりあえずそれだけだから。またね』
椿姫さんは必要なことだけ話し合えると、ぷつりと電話を切った。
「そっか…」
嬉しそうな善逸さんが憎い、そう思った。
❄︎