第14章 きみは手のひらの上 罪と罰❄︎【善逸・無一郎】
結論から言うとこうだ。
椿姫は椿姫のおじいさんとおばあさんと話し合った結果、産むことを決めたこと。
結婚するのは今後、俺と無一郎、椿姫が話し合い、そして親同士、椿姫の祖父母が話し合い決めることになったこと。
子育てに関しては里親に出さない限り、3人で行うこと。
資金はとりあえず椿姫が持つ、亡くなった両親の資金から出すこと。
俺と無一郎が就職を始めたら、今後そこからお金を出し生活をすること。
など、決められることを決めた。
「椿姫は出産が終わって、少なくとも1年経つまで私たちのところにいさせる。その間、連絡は私たちを通すこと」
と、椿姫のおじいさんが言った。
大切な孫娘を守るため、仕方ないことだと思ったけど、会えない、連絡ができないことは納得ができなかった。
「どうしてですか」
それに声をあげたのは、俺ではなく無一郎だった。
「僕は納得できないです。僕は椿姫さんが好きだ。どうして直接会ったり、連絡したらダメなの」
無一郎はムッとした顔で、まだ納得していないという態度だった。
それに無一郎の両親が顔を青くして、無一郎を嗜める。
「君たちは椿姫の意見を聞くことなく、手を出し、まだ17歳の高校生を妊娠させて、納得ができていない?笑わせるな!」
おじいさんのその一言に、無一郎は黙り込み俯いた。
ずっと静かに聞いていた椿姫のおばあさんが口を開いた。
「椿姫はね、幼なじみであるあなたたちと離れたくないって言ってここに住み続けていたの。両親が不慮の事故で亡くなって、ひとりになったのに」
俺たちはハッとしておばあさんを見た。
「そう言った椿姫が、遠く離れた私たちを頼ったの。言いたいことは分かるかしら。私たちは、あの子の母親…私たちの娘が残した大切な孫娘なの。私たちはあの子を…椿姫を守る義務があるのよ」
椿姫のおばあさんの瞳には強い意志が感じられた。
「いまのあの子は不安定な時期なの。だから、刺激を与えたくないのよ。分かってくれるかしら」
優しい口調と裏腹に、有無を言わせない空気になった。
そして今後の話し合いは終わりを告げた。
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