第14章 きみは手のひらの上 罪と罰❄︎【善逸・無一郎】
『おじいちゃん、おばあちゃん。ごめんね…』
わたしは車の後部座席に乗り、窓の外を見ながらぽつりと一言こぼした。
「ん?謝ることなんかなにもないだろう」
おじいちゃんは、わたしが泣きながら『しばらくおじいちゃんのことろにいたい』と電話をしたのに、何事もなかったように接してくれる。
おばあちゃんもそうだ。
「椿姫、しばらくおばあちゃんとおじいちゃんのところで過ごすといいのよ」
おばあちゃんは優しく笑った。
わたしはそれだけで心が温かくなった。
わたしはしばらく善逸や無一郎に会いたくなかった。
彼らはわたしを強姦し、薬を盛り、脅迫まがいなことをした。
行為中、彼らを好きと言った気がするが、いまは彼らが好きだと、心から言える自信がない。
彼らに会いたくなくて遠方に住む、祖父母に頼ったのだ。
あれから数日、祖父母のもとで過ごした。
おばあちゃんが学校に、夏バテからの風邪と言い、そして、遠方の祖父母の家にいるからしばらく休ませる、と伝えたとのこと。
「椿姫は、いたいだけここにいればいいのよ。椿姫が望むなら、おばあちゃんたちと一緒に住みましょう?」
おばあちゃんはお母さんによく似た顔で、優しく微笑んだ。
『ありがとう。おじいちゃん、おばあちゃん』
わたしはそう言うと、お母さんが使っていた部屋に入るとベッドに倒れ込む。
いつまでもこうしていられない、と思いながらも家に帰り学校に行きたいと思えなかった。
あれから1週間と少し経った頃、体調不良と吐き気に襲われわたしはベッドから起き上がれなくなった。
『う゛…気持ち悪い…』
ご飯のにおいや香水などのにおいに吐き気を覚え、食べたご飯を全て吐き出すことを繰り返した。
ストレスはなくなったはずなのに、どうして…?
そう思い、カレンダーを見るとひとつ思い当たることがあった。
『わたし、夏休み中に生理きてないのに…どうして…』
生理がきていなくても、妊娠することがある、というのをどこかで見たことがあった。
わたしは生理予定日を確認すると、2週間ほど前に予定日だったことが分かる。
その頃はおそらく、大量に中出しをされた日…
『う、そ…』
わたしは指先から冷えていくのを感じながら、ほぼ100%妊娠している事実を突きつけられた。