第14章 きみは手のひらの上 罪と罰❄︎【善逸・無一郎】
「じゃぁ椿姫さんが起きるまで待とうか」
僕はそう言うと我妻さんも頷いた。
「あ、俺椅子持ってくるよ」
我妻さんは僕の返事を聞く前に部屋を出て行った。
この部屋には高そうなピアノと椅子がひとつ、簡易ベッドがひとつ、さほど大きくない棚がひとつ、その他音楽関連のものがあるくらいだ。
椿姫さんが目が覚めるまで、素っ裸なのはどうかと思いバスタオルをかける。
我妻さんは2脚の椅子を手に戻って来た。
「ピアノ用の椅子もあったけど、背もたれあった方が良いかなって思ってさ…あはは」
「ありがとう。…我妻さんも椿姫さんが好き、なんだよね?」
僕はそう聞くと、我妻さんは動きをぴたりと止めてから
「…うん、好きだよ。無一郎より後に好きになったけど…俺は雪柳さん…いや、椿姫が大好きだ」
と、真っ直ぐ俺の目を見てそう言い切った。
我妻さんがそうハッキリと僕に言うのは初めてで、こんなに真っ直ぐな目で、真っ直ぐな気持ちを言ったのがびっくりした。
「そっか…僕は7歳の時に椿姫さんを好きになったんだ。あれからずっと椿姫さんが好きだ。……椿姫さんには僕たちなしでは生きていけないようにしようか」
僕がそう言うと我妻さんは無言で頷く。
『…んっ…あ、れ…?』
椿姫さんの方を見ると、椿姫さんは瞬きを数回繰り返していた。
「あ!椿姫お姉さん、目が覚めた?」
僕はとびきりの笑顔を浮かべて椿姫さんの顔を覗き込んだ。
遅れて我妻さんが僕の隣に並ぶ。
「僕たちね、椿姫お姉さんに…ううん、椿姫さんに大切なお話があるんだ。聞いてくれる?」
椿姫さんは拘束されていること、そして全裸なことに気づいたのか顔色が悪いように見える。
それに気づいていないフリをして椿姫さんに口を開いた。
「僕、椿姫さんが大好きだよ。心から愛してる。だから、他の男を選んで欲しくないんだよね」
「お、俺も椿姫が好きなんだ!誰にも渡したくない!だから…!」
「「僕/俺を選んでよ、椿姫/さん」」
椿姫さんの目が大きく見開かれた。
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