第2章 さよなら、愛しい人【伊黒小芭内】
「雪柳…?大丈夫か?」
部屋に入り、雪柳のそばに寄った。
手に持っていた桶と手拭いを手渡す。
「身体、気持ち悪いだろ?外にいるから、身体を拭くといい」
立ち上がり、部屋の外に出ようとすると、雪柳が羽織りの裾を引っ張っていた。
『行かな…いで…』
潤んだ瞳、赤く染まった頬、汗で肌の透けたシャツ…
正直、目の毒でしかない。
「…雪柳、俺はお前に謝ることがある」
その場にしゃがむと、雪柳の頬に手を置いた。
その刺激でも辛いのか、身体をぴくりと震わせていた。
「胡蝶からどこまで聞いた?」
『…血鬼術で、おそらく…催淫剤のようなのもだろう、と…』
「あぁ、それでほぼ間違いないそうだ。それで、だ。雪柳、2択から選べ」
雪柳はこくりと頷くと、俺の言葉を待った。
「ひとつは、俺と関係を持つ。ふたつは、自分でなんとかする。前者は最後までするしかないだろう。後者は自分でするにしてもほぼ、収まらない可能性もあるらしい」
『わ、たし…よく分からないので…伊黒さん…お願いしても、いいですか…?』
語尾にかけて小さくなる声を聞き取ると、小さく息をはいた。
よく分からないがどこか安堵した。
「あぁ、最善を尽くそう」
俺は雪柳を抱き寄せると、口元の包帯を下にずり下げた。
雪柳は俺の口元に手を伸ばすと、古傷を優しく触れた。
『…痛かった、ですね……』
「…あぁ」
雪柳の顎を上にあげると口付けをする。
そのまま舌を絡めるように動かす。
『んっ…あ、っ…』
片付けしながら、雪柳のシャツの釦を上から外していく。
シャツの隙間からサラシを巻いた胸が見える。
シャツを脱がし、サラシに手をかけるとスルスルと外すと、豊満な胸が姿を現した。
『んんっ…はぁ…』
雪柳の胸の飾りに手を伸ばし、飾りを指で摘んだり、なぞったり、弾いたり…様々な愛撫をする。
それに合わせて雪柳はくぐもった吐息を吐きながら、甘い声で喘ぐ。
『はっ…あぁ…んんっ……』
口を離すとお互いの口から銀色の糸が引いていて、ぷつりと切れた。