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【鬼滅の刃】雪夜の花【短・中編集】

第12章 傷跡ごと愛してる【錆兎】



猛アタックされた男とお試しとして付き合い始めた椿姫は、優しい人だということで本格的に付き合い始めた。
が、付き合い始めたら暴言を吐かれる、朝晩問わず急にひとり暮らししているアパートに来て、身体を求めてきて断ると暴力を振るわれる。
そして一度抱くと朝まで抱き潰し、挙句には首を絞めたり、手足を拘束して無理矢理抱いて自身が満足すると帰って行く。
また家に入り浸り、椿姫を召使いのように使い、気に入らないことがあると暴力を振るわれる。

椿姫はその話をしている途中に、自分の首についた鬱血痕や歯形、手首にある何かが擦れて赤くなっている跡などを見せてくれた。

 「これは…」

俺は言葉を失った。
椿姫がこんなにも苦しんでいたなんて…知りもしなかった。
俺はひとつ考えが浮かんだ。

 「椿姫、その男は椿姫から別れたいと言ったら逆上したんだよな?」
 『え、うん…絶対に別れない!次そんなことを言ったらこれでは済まさない!って言いながら頬を叩かれたり、手酷く朝まで抱かれたよ…』
 「辛いことまで言わせてすまない…もうひとつ確認。ほぼ毎日、居座ってるのか?」
 『毎日じゃないよ。2、3日に1回くらい来るの。生理中だとわかると暴言を吐いて帰るけど…』
 「そうか…」

俺は瞼を閉じ、ひとつひとつ確認をしていく。

椿姫の彼氏は古典的なDV男で間違いない。
そして強く出られない女や子どもにあれこれ言っても、気の強そうな女や強そうに見える男には歯向かうことはおそらくない。

 「椿姫、次そいつが来るとしたらいつ頃かわかるか?」

俺はパッと瞼を開くと椿姫を見据える。

 『えっと…早くて今日、かな…』

椿姫は少し考える素振りを見せてからそう言った。
俺は椿姫の両手を取り、椿姫の瞳をじっと見つめると口を開いた。

 「椿姫、俺は小さい頃からお前が好きだ。そんな男と別れて俺と付き合って欲しい」

そう言うと、椿姫の瞳は大きく見開かれると同時に、その瞳が揺れるのがわかった。

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