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【鬼滅の刃】雪夜の花【短・中編集】

第2章 さよなら、愛しい人【伊黒小芭内】



身体を起こしてやろうと、身体に触れると雪柳はびくりと身体を震わせると小さく声を上げた。

 『ひっ…ぁ…』

 「!?」

一体、どうしたというのだろうか。

 「雪柳、なにをされた?」

 『…血、鬼術…』

身体をぴくぴく震わせながら、答えた。

 「…これから隠が来る。ここを隠に任せよう。雪柳、お前は俺が胡蝶のところに連れて行く」

俺は雪柳を横抱きにすると、走り出した。
触れた場所が熱い。
そして、触れると雪柳の身体はびくりと震えた。
時折、声が漏れた。

 『あっ……んんっ…は、ぁ…』

雪柳は、ぐったりしつつも、身体を固くしているようだった。

 「…もうすぐ着く」

俺は様子を見ながら、時折声をかけた。
雪柳は力なく頷く。
最初に見たときより、頬の赤みが増し、目の淵から涙が溢れそうだ。
身体が熱いせいか、でこや頬、首筋に薄っすらと汗が滲んでいる。

程なくして蝶屋敷に着くと、がらりと扉を開け中に入った。

 「胡蝶、いるか」

いつもなら、誰かしら来てから中に入るが、いまはそうも言っていられない。
胡蝶の部屋の方へ歩きつつ、胡蝶を呼ぶ。

 「まぁ伊黒さん、どうしたんですか…雪柳さん!?」

胡蝶は澄ました顔で部屋から出て来たが、雪柳の姿を見て、焦るような顔つきになった。

 「伊黒さん、雪柳さんをこちらへ」

胡蝶は診察台のある個室へ案内した。
俺は中に入り、雪柳をゆっくり降ろすと診察台に寝かせた。
その一連の流れでも、雪柳は身体を震わせて、声を漏らしていた。

 「…伊黒さん、1度外に出ていてくれますか」

胡蝶は真剣な表情でこちらを見た。
俺は胡蝶に任せると、廊下へ出た。

❄︎

しばらくして胡蝶が出てくると、胡蝶の部屋に案内された。

 「…雪柳は?」

 「…ここでは話せません。1度、わたしの部屋で。その前にアオイに話してきます。部屋で待っていてください」

そういうと胡蝶は奥へ消えていった。
俺は仕方なく、胡蝶の部屋に入り近くにあった椅子に座った。

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