第10章 藤の花のかおり【冨岡義勇】
目が覚めると見慣れない天井が目に入り、外を見ると日が高く登っていて、お昼近い時間だと気付いた。
『寝過ごした…?』
腰が重く、そして鈍い痛みと違和感があるなぁと頭の隅で思っていると、襖が開いた。
そこには着物に身を包んだ義勇さんがいた。
「おはよう、よく眠れたか?椿姫」
『え…?あ、はい…?』
義勇さんはわたしの近くに座ると、わたしの頬に手を伸ばしひと撫でする。
「身体は大丈夫か?」
『あ、はい』
昨日のことを思い出すが、途中から記憶がないことに気づいたわたしは義勇さんの腕を掴み
『わ、たしっ!途中から記憶がないんですけど…!?』
そう言うと義勇さんは目をぱちぱちさせると、ふっと笑った。
「あぁ、途中で気を失ったからな」
義勇さんはそう言ってからわたしの視線よりだいぶ下…お腹の方を指差していた。
その指さした方を見るように視線を下に下げると、わたしが着ていたのはサイズの大きなシャツだった。
『あ、れ…?これ、わたしのじゃない…』
「冷えると思ってな、俺のだが着せたんだ」
義勇さんは俺の浴衣だと大きいからこれがちょうどいいか、と着せてくれたらしい。
わたしは自分の失態と身体中を全て見られた恥ずかしさに頬を赤く染めつつ、義勇さんにお礼の言葉を言う。
『ぎ、ゆうさん…ありがとうございます…』
「いや、既成事実は出来なかったが問題はない」
『既成、事実…?』
義勇さんはそう言うとわたしを布団に押し倒した。
『えっ、あの…っ?!』
「今から孕ませる気で抱けば問題ないだろう」
義勇さんはわたしの着ているシャツの釦を、上からひとつひとつ丁寧に外した。
『や、待って!義勇さんっ!?』
そしてわたしは義勇さんに抱き潰されたのは言うまでもない…。
❄︎