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【鬼滅の刃】雪夜の花【短・中編集】

第8章 令和時代からこんにちは【伊黒小芭内】



師範が言った、「おそらく、お前の子孫だろう」という言葉が頭の中をぐるぐる回っている。
誰と結婚し、わたしは誰の子を身篭り、赤ん坊を産んだのか。
そればかりが気になって仕方がなかった。

わたしは、師範である伊黒さんをお慕いしている。
蛇柱である伊黒さんの継子であり、鬼殺隊であるわたしは、恋にうつつを抜かしている暇はない。
そう思っていたのに、急に未来の子孫?が来たとか…どういうこと…?

ぼんやりしていると、

 『…さん?椿姫さん?』

肩をぽんぽんと叩かれるのに気付き、顔を上げる。
目の前にはわたしと同じ顔が心配そうにわたしを覗いている。

 『椿姫さん?大丈夫?』

彼女はわたしよりほんの少し身長が高く、体付きも…その、良いと思う。
それに、わたしと同じ色の髪の毛は胸が隠れるか隠れないかの長さで、よく手入れされていて綺麗だ。

 『え、あ、うん。大丈夫』

わたしがそう言うと、柚姫さんが微笑む。

 『よかったぁー。具合が悪いのかと思ったよ』

柚姫さんは綺麗な人だと思った。
相手をよく見ているし、気遣いができる人。
師範の隣りに並ぶ姿を見ると、

 (あぁ…とてもお似合いだ…)

そう思うと同時に、とても真面目な気持ちになった。

わたしは自分自身に自信がない。
それはわたしの育った環境が原因だろう。

父親に暴力されていたのだ。
母親もそれが原因で死んだ。
わたしは逃げるように家を飛び出し、鬼殺隊の育手に助けられた。
そうして、わたしは鬼殺隊に入り今に至るわけだ。

 「雪柳…?どうした?」

師範がわたしを心配そうに見ていた。

 『あ…いえ、大丈夫です…』

わたしは視線を逸らした。
それを柚姫さんが見ていることを知らなかった。

 「そうか…」

お屋敷に着くと、師範は柚姫さんを茶の間に通した。

 「客間を用意する。少しここで待つといい。雪柳、あとは頼んだ」

そういうと茶の間を出て行った。
わたしは椿姫さんを座らせると、

 『お茶を持ってくるから、少し待ってて』

そういうとわたしも茶の間を出る。

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