第8章 令和時代からこんにちは【伊黒小芭内】
「そう言えば伊黒さん、椿姫さんはどうしたんです?」
しのぶさんは思い出したように声をかけると、小芭内さんはしのぶさんの方を見る。
「あぁ、少し買い物に出かけていてな。鴉にここに来るよう言伝を頼んである」
そう言うと、視線をこちらに向けた。
『どうしました?小芭内さん』
わたしは小首を傾げつつ、そう聞くと小芭内さんはわたしの頭のてっぺんから足の先までじっと見てくる。
『えっ…と…?』
「お前は雪柳に似ているが、違うな」
『え?そりゃぁ別人ですよ。わたし、令和からきたんですから』
「令和…?」
今度は伊黒さん、しのぶさん、宇髄さんが小首を傾げた。
『はい。今より100年後くらいの年号って言った方がいいかな、そこから来たみたい』
わたしはあっけらかんと答える。
話しているうちに、聞き覚えのある声が聞こえた。
『こんにちはー、しのぶさんはいますかー?雪柳ですー』
しのぶさんは立ち上がると、部屋を出て行った。
「派手に驚くぞ?雪柳」
宇髄さんはニヤニヤ笑う。
『宇髄先生…じゃなかった、宇髄さんそれセクハラです。このキャラこの頃からなんですね』
「なぁそのセクハラってなんなんだよ、雪柳」
『セクハラはセクハラです!性的嫌がらせ、ってところでしょうか。変態ってことですよ』
「宇髄にお似合いじゃないか」
小芭内さんはそう言うと、ふと鼻で笑う。
「椿姫さん来ましたよ」
しのぶさんが扉の向こうから姿を現すと、その後ろからぴょこりと姿を現すのはわたしとよく似た顔だった。
『わぁー、似てるって言われたけど確かによく似てるね』
わたしは立ち上がると、部屋に入ってきたわたしにそっくりな椿姫さんの隣りに並ぶ。
『髪の毛の長さと、身長とー…胸の大きさくらいかな、違うの』
そう言うと、椿姫さんの顔を覗き込む。
『え、えっと…?わたしによく似てますけど…誰ですか』
椿姫さんは冷や汗をかいている。
「雪柳、未来から来たおそらくお前の子孫だ」
そう、小芭内さんが言った。
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