第8章 令和時代からこんにちは【伊黒小芭内】
「さて、宇髄さん。説明をお願いしても?」
そこに居たのは胡蝶しのぶさんだった。
『あれ…しのぶさん…?』
「よく見ると椿姫さんなんですよねー…でも、格好も違いますし、少し大人っぽいですね」
しのぶさんはニコニコと笑う。
「あぁ、雪柳なんだが上から落ちてきた」
「はい?」
「あ?だから、上から落ちてきたんだよ。普段の雪柳なら飛び跳ねたり、身軽に降りてくるのに変だなと。そしたら違うんだよ、雪柳が」
宇髄さんは窓辺に背を預け、腕を組む。
「鬼の血鬼術かなにかか?」
その表情はどこか真剣だった。
「そうですね…伊黒さんと椿姫さんに文を出しましょう。話はそれからです」
しのぶさんは、そう言うと何かをさらさら書くと鴉の足に手紙をくくりつけた。
「伊黒さんにお願いしますね」
そう言うと、鴉は羽根を広げると空に飛び立った。
「その間に椿姫さん、少し質問をいいですか?」
『あ、はい。あ、でもその前に今の年号は…?』
そう聞くと、しのぶさんは怪訝そうな顔で
「大正です」
と答えた。
それからしのぶさんに質問をされた。
わたしは、答えられることを全て答えた。
わたしは学校の帰り道、道を歩いていると気付いたら身体が浮遊していたこと。
落下しているところ宇髄先生が助けてくれたこと。
そして、特に何の説明もなくここに連れてこられたこと。
それを話した。
すると、しのぶさんは考える素振りを見せると
「そう言えば椿姫さん。お名前は椿姫さんで間違いないですか?」
『え?はい、雪柳椿姫ですけど…』
「困りましたね、こちらの椿姫さんと同じ名前です」
「だな」
『なら、わたし柚姫と名乗りましょうか!わたしの名前、最初は椿姫じゃなかったんですよ。わたしの容姿が亡くなったおばあちゃんに良く似ていたそうで、おばあちゃんの名前をそのまま貰ったんです』
「椿姫さんの子孫ですか」
「派手にそっくりだが、身体付きはこっちの方が好みだな、俺は」
「宇髄さん、黙ってください」
宇髄先生のセクハラ発言を黙らせるしのぶさんは、令和でも変わらないなぁと思った柚姫だった。
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