第8章 令和時代からこんにちは【伊黒小芭内】
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『きゃぁっ!?』
わたしは急な浮遊感に襲われる。
下には舗装されていない道が続いている。
これはまずい…!そう思うと同時に、身体が下に降下していくのがわかった。
『きゃぁぁぁっ!?』
どんどん近くなる地面に、わたしはぎゅっと目を瞑った。
いつまで経っても身体に痛さも、衝撃も来ない。
ゆっくりと目を開けると、そこにはよく見慣れた人がいた。
『う、ずい…先生…?』
「あ?」
そう、そこには宇髄先生がいたのだ。
いくつか違うところがあるとすれば、頭にそんな派手な宝石?の付いた額当ては付けてないし、頭にも布を巻いてなんかいない。
それに、学生服のような服を着ているのに袖がないし、背中には大きな刀が2本ある。
『え…別人、なの…?』
わたしはそう呟くしかなかった。
「あー…俺は宇髄だが…雪柳?お前この格好どうしたんだ?それにいつもなら身軽に飛び跳ねてるのに」
そういうと、宇髄先生?はわたしをゆっくりと地面に下ろした。
『この格好って…宇髄先生の方の格好の方がどうしたんですか?ぴょんぴょん飛び跳ねてるって…わたしをうさぎかなにかだと思ってるんですか?』
そういい返すと、宇髄先生はまたあーとか、うーとか唸るとわたしを肩に担ぎ上げた。
『わわっ!?ちょっ、ちょっとっ!!セクハラですよっ!!』
「あぁ!?ちと黙ってろ!口開けてっと舌噛むぞ」
そう言うと、ドンっ!と大きな音がすると景色が変わる。
『っ!?』
わたしは振り落とされないように、宇髄先生の背中にしがみつく。
『こっ怖いっ!!』
「すぐ着く、大人しくしてろ」
そう言ってからすぐに宇髄先生は立ち止まる。
「おーい、胡蝶ーいるかー?」
そう言うと、ガラガラと扉を開ける音がする。
「なんです?宇髄さん…え?誰を攫ってきたんです!?」
穏やかに話していた女の人の口調が一瞬にして、慌てたような口調になる。
「あぁ、中に入ってからでもいいか?」
「え?あぁ、はい。どうぞ」
そう言うと中に入る。
『あの…わたし、いつまでこのままなんですか…』
わたしは上半身を起こしつつ、宇髄先生を見下ろす。
「あぁ、もう少しな」
宇髄先生はわたしを担ぎ上げたまま、歩き出すと女の人の後に続いた。
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