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月神の恋人 拾遺 【鬼滅の刃 黒死牟 R18】

第3章 ※貴方がほしいもの、私がほしいもの※


(巌勝様・・・)

激しかった行為を思い出してしまう。互いが互いを求めあった、蜜のように甘く濃密な行為を。

それだけで、再び胎内が重く疼いた。

(嫌だわ、私。何てふしだらな・・・)

あれだけ激しく交わった後だと言うのに、まだ足りないとでも言うのだろうか。己の浅ましさをひどく恥じたキリカは両手で顔を覆ってしまった。

「キリカ・・・?」

もじもじしながら黙り込んでしまったキリカに、黒死牟は訝しげな視線を向けた。囁くように名を呼ぶ。

「キリカ・・・?」

返事はない。もう一度、名を呼んだ。呼んで、キリカの顔を覗き込む。

「なっ、何でもありませんっ・・・」

不意に覗き込まれたキリカは上擦った声を上げると、逃げるように顔を背けた。

「お気になさらないでくださいっ・・・」

両手で覆ったまま、俯いてしまった。この状態で見つめられなどしたら、どうなってしまうか分からない。

(そうか・・・)

瞬時に全てを察した黒死牟は意地の悪い笑みを口元に浮かべた。キリカの肩に手を置くと、やや強引に視線を此方に向けさせた。

「どうした・・・?何が欲しいのか・・・、言わねば分からぬぞ・・・」

じっと見つめたまま、ことさらゆっくりと訊ねた。お前の考えている事などお見通しだと、言外に匂わせながら。

「それはっ・・・」

妖しく輝く六つ眼に全てを見透かされたような気分になり、キリカは全身を火照らせた。

「さあ・・・、言えば、好きなだけくれてやろう・・・。言わぬのなら・・・、そのままだ・・・」

囁きがキリカの耳朶を打つ。ぞくりと四肢が震えた。身体中が熱く火照っているのを感じる。

「言えば・・・、好きなだけくださるのですね?」

艶めいた囁き。くすり、と笑ったキリカが黒死牟を見つめる。この方が欲しい。そう思ったら自然と唇が言葉を紡いでいた。

「お前は・・・」

予想外の反応に、黒死牟が驚いたように目を見張った。

(驚いていらっしゃる・・・)

微笑みを浮かべたまま、キリカは黒死牟の顎に手を添えた。ゆっくりと口付ける。

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