【ハイキュー!!】排球人生死愛箱【ハッピーシュガーライフ】
第11章 私がこの世に産み落とされた日
「俺は今いい感じのシュチュエーションを組み立ててたんだよ!それを実行しようと思ったらよりによって雪投げるとか、え?風邪ひかせようとしてる?」
「大丈夫、死なない」
「いやそういう問題じゃなくてな?」
徐々に黒尾は地に積もっている雪を丸め、孤爪に投げる。あまり大きな力ではなかったものの、孤爪は眉を顰めながらまた雪を作り黒尾に投げる。いつの間に雪合戦となっていることに#れいか#は優しく微笑んだ。そんな気が緩んでいる#れいか#に黒尾は雪を投げるが、その玉は一瞬で#れいか#の拳によって潰された。
「……え」
途轍もない速さで雪の玉を片手の拳で受け取り潰す#れいか#に二人は冷や汗をかいた。
『……ふふ、私も……日頃の恨みを晴らそうかな』
そう小さな雪の塊を集め#れいか#は孤爪と黒尾に投げる。投げるスピードは速かったはずなのに当たると不思議に痛くなく、ただ冷たい。二人はなんだかんだ楽しくなってきたのか、再び雪合戦を続行した。
沢山遊び、疲れてきた時。外はもう真っ暗で、雪はまだ止む気配なく降り続ける。鼻が赤くなっている三人。#れいか#のふわふわとした髪にも雪がふわりと優しく着いていて、キラキラと輝きを放っていて、綺麗だった。
儚くて、雪のように脆く感じた二人はゆっくりと#れいか#の手を指も絡め繋ぐ。
「今日、生まれたんだよな。12年前に、#れいか#が」
「……オレ、#れいか#と出会えて良かった」
「俺も」
先程とは違う雰囲気。優しく、雪の降る中三人はいるはずなのに、何処か暖かった。
黒尾も孤爪も心地良さそうに、空を見つめる。空から雪がしんしんと降り、孤爪は手の空いた片手で雪をとる。
#れいか#の瞳の中に、小さな小さな雪の結晶が入っていく。瞬きもせずに、何も感じないように、#れいか#は目を開け続ける。ゆっくりと瞳の中に溶けていく結晶は、瞳の奥の暗い暗い奥に沈んでいくようにも見えた。
「来年も、この日に雪が降ればいいな」
「来年は#れいか#も中学生だから、色んなところに行こうね。オレ達だけで」
黒尾は瞳を閉じ、色んなことを連想させる。好きな彼女と、中学生になれば今よりかは遠く離れた場所に行くことが出来る。遊園地、水族館、映画館、動物園、バレーの試合などなど。楽しみで仕方がないのか黒尾はゆっくりと微笑んだ。
