第1章 いちにちめ
結婚も3年経つと、なんだか新鮮味も徐々に薄れていくものだ。
おまけに、愛しの彼といえば第四次忍界大戦の後火影になり激務。
家に帰ることも少なくなった。
晩御飯を無駄にしないために火影付きの鷹くんが毎日いるのかいらないのかの返事を届けてくれている。
今日もまたコツコツと窓を叩くので入れてやると足元に括り付けられたメモには 『いる』の文字。
実に簡素だ。
付き合っていた時の甘々な日々はどこへやら。夫婦はみんなこんな風になっていくのだろうかと考える。
こんな調子であと5日で私の誕生日だが、彼は帰ってきてくれるんだろうか。覚えているだろうか?
ちなみに一昨年と去年はお互いの誕生日は有耶無耶になっていた。この世界自体が戦も復旧も大変だったし、そんな余裕はどこにもなかったのだ。
買い物は昨日済ませていたので、冷蔵庫に残っていたもので作る。
もう私は新妻から脱出したのだ。彼の好みを覚えているが好きなものを作ったり、豪勢なものを作ったりという気合いはとうの昔にお空に霧散した。
ほうれん草を切っていると、ふっと背後から抱きつかれた。
「、ただーいま。」
『おかえり。どうしたの?早かったね。ってか普通に入ってこい。』
「いやー驚かそうと思って。」
『さいですか。』
「今日は何?」
『麻婆豆腐とご飯と味噌汁』
「良いね。」
『それは良かった』
すすっと彼の手が私のお腹周りを擦る。
『ちょっと…』
「うん?」
『今料理してるんだけど…危ない』
「大丈夫大丈夫。は優秀な忍だから。」
『いや答えになっとらんわ』
彼の手がゆっくりと下腹部をなぞり、人差し指でお臍の周りをくるくると撫でた。
『ちょっと!危ないし!こそばゆいから!』
「まぁまぁ。」
また手のひらでお腹周りをあっためるように撫で服の下へと入ってくる。
包丁は手を離れ、カカシの手首を握って引き剥がそうとするがビクともしない。
スっと、手が胸の方まで来たかと思えばお腹に下がって際どく撫でる。
『…あっ』
息が漏れた隙にいつの間にか外したマスクからキスをされる。
ちゅくちゅくと可愛く啄むようなキスだ。
舌を少し絡めて吸われる。
お腹への手つきと唇への愛撫で体が浮遊するような感覚にされていく。
これはまずいやつだ。