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【ポケモン】パシオで恋して

第4章 Ever green!③


「停電だ!予備電源に切り替えろ!」

ライヤーさんの声が響く。

「若、申し上げにくいのですが、先日デンジがシステムをいじったばかりで予備電源の設定がまだでして…」

「ええい!ならばデンジを呼んでこい!!今すぐにだ!」

「はいっ!」「ほいさ!」

どうやら、かみなりのせいでスタジアムが停電してしまったらしい。

勝敗の行方が分かぬまま、観客席がどよめく中、全てを出し切ったサンダースが私の足に寄りかかるようにしてその場に倒れた。

「サンダース…ありがとう…本当にがんばったね…」

小さくも勇敢な私のバディをそっと撫でる。

サンダースは前足を上げて起きあがろうとするけれど、力を使い切り動ける状態ではない。

身体から発生させるでんきも、線香花火のようにパチパチと儚く光るのみ。

もうこれ以上この子を戦わせることはできない。

これが、今の私たちの全てだ。

「大丈夫か?」

グリーンが跪き、サンダースの様子を探る。

「うん。意識はあるけどこれ以上は…」

「仕方ねーさ。はじめてのバディーズわざでくたびれたんだろ」

「え?」

「あんなのくらったら、さすがのリザードンも戦闘不能だ。トドメをオレがさせなかったのが悔しいけどな」

そう言うと、グリーンは突然膝立ちの姿勢で私を抱きしめた。

「よくやったな!」

「グ、グリーン!こんなとこで!」

押し返そうとしてもびくともしない。びくともしないどころか、余計に腕の力が強まってゆく。

「オレに内緒でいつの間にバディーズわざを習得してたんだよ!」

「バディーズわざなんて私…」

「さてはオレを驚かせようと隠れて特訓してたな?」

「どういうこと?」

「は?」と言いながらグリーンは腕を解くと、私の肩を両手で掴む。

「まさか自覚してないのか?最後のかみなりの直前、バディーストーンが反応してただろ」

「あれはかみなりの光じゃ——」

会話の途中で予備電源が入り、スタジアムに明かりが戻った。

「諸君!待たせたな!これより結果発表をする!」

ライヤーさんが激戦で荒れに荒れたスタジアムを見渡し、戦闘不能の3匹と、かろうじて意識を保っているサンダースを視認すると、高らかに叫んだ。

「優勝グリーン!ナナ!」

こうして、きずなの大会、決勝の幕は閉じたのだった。






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