第17章 ペパーミントラブ
「ナナ」
後ろから名前を呼ばれ、顔だけ振り返ると、ちゅ、とキスをされた。途端に心臓がドンドコうるさく鳴り始める。
「寝る前の挨拶代わりな」
「うん、お、おやすみ…」
そのおやすみのキスで、心臓のドラムビートは鳴り止まなくなるから困ったものだ。
顔を背けると、背後からぎゅうっと抱き締められる。大好きなグリーンの体温を感じる。あったかくて、優しくて、満たされ、でも、苦しい。愛しさが溢れ、呼吸するだけで胸がジンジンする。
どうしよう。お腹を見られたくないし触れられたくもないのに、きっとこの後はいつものように、私を優しく包み込んでいる手が伸びて、服の中をまさぐって——
と、心の準備をしたのに、グリーンはなにもしてこなかった。
しばらくすると、すーすーと寝息が聞こえてくる。
ころんと自分から向かい合う体勢に戻り、グリーンを見つめた。
(きれいな寝顔…)
思わず釘付けになる。
おしゃべりに付き合ってくれたり、たくさんかまってくれたけど、やっぱり疲れていたみたいだ。
私も、もう眠らないと。