第14章 メイ探偵とゴースト
勝負を終えて帰り支度をしていると、グラジオがオレの前に姿を見せた。
「…なんだよ、オレはイラついてんだよ」
「帰ったはずの生徒がこっちに向かってるのが見えたから見張ってたんだ。けど、オマエのおかげで面倒ごとにならずに済んだ」
「べつに、ただ勝負してただけだ」
「……感謝する」
「だから、礼を言われるようなことはなにもしてない」
なにか言いたげにオレをじっと見ているが、その視線すら煩わしい。
無視して帰ろうとすると、思ってもみなかった言葉が飛んできた。
「仲間想いなんだな」
グラジオを睨み据える。
「オレはあいつとチームを組んでいる。使いものにならなくなったらオレが困るんだよ」
「フッ、不器用なやつだ。けど、オマエみたいなヤツは嫌いじゃない」
「言ってろ。WPMでお前らをぶっ倒してやるから」
「ああ、対戦楽しみにしてる」
もうこれで会話は終わりだ。きびすを返し歩みを進める。
「待て」
舌打ちをして振り返ると、グラジオの手にはモンスターボールがあった。
「さっきの勝負じゃ物足りないだろ?よければオレの修行に付き合ってくれ」
話すのはごめんだが、勝負となれば話は別だ。
「フン、すぐにオネンネさせてやるよ」
「いいな…その気迫、かかってきな…!」
その後、サイキッカーの女子生徒は、復学してオカルト研究部に入ったらしい。それがきっかけで「毒舌エスパー少女」なんてあだ名がついて、パシオアカデミーのちょっとした有名人になっているそうだ。
まぁ、オレにはどうでもいい話だ。