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【ポケモン】パシオで恋して

第13章 帽子のトレーナー




「今日は迷子のポケモンはなし……と」

「ロケット団はあれからしばらくおとなしいね。ゲーチスも音沙汰なしだ」

「おい、そこのふたり」

ヒナギク博士の依頼である見回りを終え、Nとふたりでセントラルシティを歩いていると背後から声をかけられた。

振り向けば、ツンツンの銀髪、目元を隠す大きなサングラス、派手なファーをあしらった白いスーツのおにいさん。

「はい……って、ライヤーさん!?」

ライヤーさんに話しかけられたのはきずなの大会ぶりだ。

とある国の王子だという彼は、人工島パシオのオーナーであり、WPMの主催者でもある。

そんなものすんごく位の高い人が、お供もつけずにひとりでいるのは珍しい。

「N——と、貴様はたしかナナと言ったな?今少し時間はあるか?」

「はい、なんでしょう?」

ライヤーさんは腰に手を当てて鼻で笑う。高圧的な仕草も、ホンモノの王子がやるとなんだか風格がある。

「ナナは以前きずなの大会に出場していたな?パシオでは今後もみなが喜ぶような企画を考えていきたいと考えている。そこで——」

ばっと手を前方に向けるライヤーさん。ジェスチャーが演者のように派手なのは王子だからなのだろうか。常に人前で話す機会が多い分、話し方や身振り手振りで大衆を扇動するように振る舞う彼にかかれば、こんな街中のふとした会話もまるで演説だ。

「貴様たち庶民の意見を取り入れたい!何か要望はあるか言ってみろ!」

Nはプラズマ団の王だったから、実質庶民は私だけ。庶民代表として王子にちゃんと答えないとだ。

「要望ですか?ううーん」


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