第11章 お祭り騒動
「いい歳してお前らなぁ…」
呆れたようにグリーンがぼやいている。
「仕方ないでしょ。わざとじゃないし、ちゃんと謝ったし」
リーフちゃんとグリーンのやり取りに、またレッドが楽しそうに声を上げて笑い出した。つられて私も笑顔になる。
楽しいな。いつまでもこうして花火を見ていたい。
この時間がずっと終わってほしくない。
「ねぇ、来年もまたみんなで来たいな」
ぽとりと思いを口にする。
「そうね。来年の夏、また4人でここに集まろうよ!」
来年の夏、か。1年後の私はなにしてるんだろう。
グリーンはいずれトキワジムに戻るだろうし、レッドもリーフちゃんもまた修行で世界中を旅して回るのかな。
いつかまた、みんな別々の道を歩んでいく。
その時、未来の私は笑っているのだろうか。
「こんだけ大盛況なら来年もまた開催されるだろ。せっかくだから毎年の恒例行事にするか」
「いいね!レッドももちろん賛成でしょ?」
「…うん!」
リーフちゃんの誘いに、レッドは深く頷いた。
夜空を彩る花火は、一瞬のいのちを輝かせながら役目を終えて消えていく。
私たちの時間も、花火のように儚く過ぎ去ってしまう。
「うん、集まろう!来年も、再来年も!」
約束が未来に希望を与えてくれる。
私たちならきっと大丈夫。こうして4人揃えば、何年経ってもあの頃のように笑い合える。
花火はつぎつぎに大輪の花を咲かせていく。
鮮やかな思い出と、どうしようもない寂しさを空に残して。