第9章 ※チームメイト
「ありがとうナナ。ボクはキミのそういうところスキだよ」
「え、Nさん…!?」
さりげなく、そして純度100%。なんの穢れもない「好き」が飛んできて、思わずドキリとした私はなんて浅ましいんだと自分を責める。
「自ら傷つくことを恐れず、それでもボクらのためにプライドを犠牲にしてものまねをしてくれたんだね」
「は、はははは…ありがとうございマス…」
だから、深くは考えてなかったんです。
こんなことならものまねなんてしないで、いつものように当たり障りないことを言っておけばよかった。
Nさんの優しさに触れた直後、シルバーくんの口撃が始まる。
「N、こいつを甘やかすな。ただでさえグリーンに甘やかされて腑抜けになってんだから」
「甘やかされてない!」
「いいや。あいつ、あからさまにお前だけ特別扱いしてる。だからオレは絶対、お前を甘やかさないって決めたんだ」
はたから見たら、私とグリーンってそういう風に見られているのか…。
私、いつもグリーンに甘えすぎなのかもしれない。
「ふふっ、グリーンはキミのことダイスキなんだね」
「ぶっ」
またしても純度100%が飛んできて思わず吹き出してしまった。シルバーくんが私を汚物でも見るような目で見下げている。
Nさんって、見た目的に20歳くらいだよね。私たちよりずっと大人びているのに、心はまるでピュアでまっさらだ。
「だ、大好きというか、幼馴染なんです。私、カントーのマサラタウン出身で、グリーンやレッド、リーフちゃんは、小さい頃からひとりっこの私の遊び相手になってくれて」
「そんなに長い付き合いなのか。子供の頃から今でもずっとトモダチなんてステキだね」
こんなに素敵なNさんこそ、きっと大切な人がいるに違いない。
そう思って何気なく聞いてみた。
「Nさんにも幼馴染とか、ちっちゃい頃から仲良い人っていますか?」
「……おい、軽々しく人の過去を詮索するな」
会話の流れで聞いただけなのに、シルバーくんの表情が曇る。