第8章 でこぼこトリオ結成
「…よかった、捕まえられて」
手のひらの上、トゲピーが眠るモンスターボールへと視線を落とし、深々とため息をついた。
ダイマックスしたトゲピーは、木々や岩に身体をぶつけながら苦しそうに暴れ回り、痛々しくて見ていられなかった。
ようやく捕獲できたものの、状況をいまいち掴みきれていない。
なぜ急にダイマックスしたのか、そして、どうして苦しんでいたのか。苦しみもがく様子から、まるで、無理やりダイマックスさせられたようだった。
「初回にしては、随分と立派な手土産ができたな」
「うん、早く博士に報告しないと」
そう返し、シルバーくんを見れば、何やら森の奥を眺めている。
「もしかしてまたポケモン見つけた?」
「いや…なんでもない」
「そう?じゃあ研究所戻ろっか」
でも、帰る前に、手伝ってくれた男の人にお礼を言うのが先だ。
ポケモンの背に乗る男の人に近づき、頭を下げた。
「あの、手伝ってくれてありがとうございました。助かりました」
「こちらこそ、トモダチを救ってくれてアリガトウ」
不思議な言い回しだけど、会話の流れ的に“トモダチ”というのはポケモンのことだろう。