第3章 Ever green!②
無事にグリーンとエントリーを終えた私は、ついに大会当日を迎えた。
今回の大会は1日限りのお祭りイベントだけど、簡単な開会式があるということで、参加者全員メインスタジアムに集められていた。
ステージに集まった出場者達に、それを見守る会場を埋め尽くす観客達。
参加者みんな、各地のジムリーダーや四天王など、有名なトレーナーばかりだ。
会場の錚々たる顔触れに、背筋が伸びる。
肩を並べて立つグリーンのその表情は、相変わらず自信に満ち溢れ、客席に向かい、意気揚々と手を振っている。
ファンサービスの邪魔になるかと思い距離をあけると、離れた私に気づきすぐに話しかけてきた。
「なんだよ?ビビってんのか?」
ビビるというよりちょっとヤキモチ焼いただけだけど、それは内緒にしておこう。
「そりゃあ、これだけ有名人に囲まれてたくさんの観客がいたら緊張します」
「このグリーン様が隣にいるのになに言ってんだよ」
そう言うと、また客席に向き直り手を振り返す。
ついつい幼馴染の視点で見てしまっていたけど、グリーンってこんなに有名だったんだ…。
今更ながら、グリーンとエントリーしたプレッシャーがのしかかってきた。緊張して胃がキリキリする。
平静を装っていたけれど、萎縮した私に気づいたのか、グリーンが私の背中をポンと叩いた。
「自信持て。そんなんじゃ相棒が不安になっちまう」
言われて下を見ると、サンダースは寄り添うように私の脚にぴとっとくっついてくれていた。
「心配かけてごめん。大丈夫、ありがとね」
サンダースの頭を撫でれば、嬉しそうに目を細めている。
「お前が不安になればポケモンも不安になる。信頼して側にいるこいつらのケアするのがトレーナーの務めだろ」
「…うん」
不甲斐なくて下を向いていたら、グリーンが頭を撫でてきた。
「安心しろ。なんてったって世界一強い、このグリーン様がパートナーなんだからな!」
「うぅ〜」
それが緊張の1番の原因ではあるけれど、頼もしい台詞に今は救われた心地になる。
「あっナナちゃん!グリーン!」
不意に聴き馴染みのある声に呼ばれ、顔を上げた。
リーフちゃんだ。