第2章 Ever green!①
「エントリーっていつまでだ?」
「あ」
すっかり忘れていたけど、確か…
「今日の18時まで」
「マジかよ!急がねぇと!」
砂の上で眠ってしまっていたサンダースとカメックスを、慌ててモンスターボールに戻す。
グリーンはバッグからべつのモンスターボールを取り出し、砂浜に放り投げた。
ピジョットの鳴き声が高らかに響き渡る。
「あと10分しかない。乗れ!」
「無理だよ!どう考えても体重オーバーだって!」
「コイツはそんなヤワじゃねーよ。ほら」
抱っこされピジョットに乗っけられる。
フカフカの羽毛は上質なお布団みたいだ。
「ピジョット、重くてごめんね」
ピジョットは応えるように一声鳴いた。
「任せろって言ってるぜ」
「ありがとう、よろしくねピジョット!」
「しっかり掴まってろ」
「うん」
グリーンの背中にギュッと掴まる。
ピジョットは大きな翼をはためかせ、空へと舞い上がった。
風を切る感覚が心地よい。
しずかな夕闇の中、私たちは風と一体になり、明かりの灯る賑やかなセントラルシティへと向かう。
グリーンの体温を感じながら目を閉じた。
追いかけていた背中は、こんなにも大きくてあたたかい。
憧れがいつから恋になったのかはわからない。
けど、もしかしたら私は、子供の頃からずっとそうだったのかもしれない。
グリーンが好き。大好き。
心の中でそっと呟く。
このまま時が止まればいいのになんて、柄にもなく思ってしまった。