第4章 俺が想いを伝えた時の話
「俺、が好きだ。」
「………え?」
顔を見るとくりくりした黒目がこれでもかと見開かれていて、俺は目を細めた。
「意外と泣き虫で弱っちい所も。
優しいとこも鈍感な所も。頑固な所も。
あとそうだな………全部が好きだ。」
俺はという人間の全てが好きなんだと思う。
『私が玄弥君を絶対に強くするから。』そんな事を言ってしまう所も、子供みたいに泣くところも、鈍感で懐っこい所も。結構全てがだと思うと心の底から愛しいとそう思う。
「…先に上がってるから。顔冷やしておいで。」
うっかり言ってしまった胸の内への答えなんて聞く余裕は勿論なくて、俺は目を見開き固まるの頭をひとなでして浴室を後にした。