第4章 俺が想いを伝えた時の話
「今から、悲鳴嶼さんとこ帰るか?」
「………え?」
は俺より強いから、俺ではきっとこの気持ちを楽にしてやることは出来ないんだと思う。
「今、雨が降ってるんだよ。俺には見えないけどがそうなるのは雨が降ってるからだ。」
が弱音を吐く姿は初めて見た。きっと、前に言っていた雨の日がたまたま今日なのだろう。
「悲鳴嶼さんならソレから守れる。」
本当は、俺にそれが出来たら。そんな事を心の中で思いながらも、俺では役不足だろう。と早々に諦めた俺には突然声を上げて怒りだした。
「いま、私は玄弥君と居るの…っ!!」
その姿がまるで駄々をこねる子供のようで、俺はそっとの頭に手を置いた。
「…じゃあ、今は俺が悲鳴嶼さんの変わりしてもいいか?」
__コクリ。と遠慮がちに頷いた姿が可愛らしくて、ふっくらとした頬に触れながらあやす様に問いかけた。
「いつも悲鳴嶼さんはどうしてた?」
「ギュッでして、頭を撫でてくれる。」
言われた通り抱きしめて頭を撫でると、は少し安心した顔をして目を細めた。
「それから、どうしてた?」
「時々優しく頬を抓って、子供みたいって笑う。」
「ははっ、確かに駄々を捏ねる子供みたいだ。」
柔らかい頬に触れると、の目が遠慮がちにこちらに向いた。