第4章 俺が想いを伝えた時の話
□小雨の降る露天風呂
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差程遠くない温泉宿の部屋に着いた俺は唖然とした。
「(嘘だろ…部屋まで一緒なのかよ…。)」
「何か思ったよりちゃんとしてるね!!
ねぇ、温泉行く前にさ温泉街歩こうよ!!」
年頃の男女が2人温泉宿の同じ部屋に泊まる。
しかもココは混浴しかないらしい。
元気よく俺の手を引くは、本当にこの状況に対して何一つ警戒心を持っていないんだろうか。
「お土産、温泉まんじゅうでいいかな?」
「………ん、あぁ。いいんじゃない?」
正直俺は、この後どうやって混浴を回避するかで頭がいっぱいなのだが何故かうなり出したの声を聞いて俺はやっと目をそちらに向けた。
「うー、悲鳴嶼さんと、実弥さん、しのぶでしょ…。あと宇髄さんのお家…それから蜜璃ちゃんでしょ…。あと…この前稽古に来た子…お世話になってる隠の子…それから………。」
指をおりながら口を尖らせる仕草が可愛らしくて俺は思わず口角を上げた。
「、1泊だろ?場所もそれほど遠くない。そんな皆に買わなくても大丈夫じゃないのか?」
「あ、えっとね。…これ渡したら…皆に会えるから。…口実というか…ほら、ね?みんな忙しいから、なにか無いと申し訳なくって。」
眉を下げてそう言う姿にまた笑ってしまった。
「なら、この小さいのにしたら良いさ。」
「うんっ!!そうするっ!!!」
楽しそうに土産を選ぶ横顔は小さな子供のようで、俺はほんわかと癒されていたのだが、部屋について早々、俺は頭が痛くなった。